ファウンテンズ修道院 Fountains Abbey
ファウンテンズ修道院はナショナル・トラストの数多いプロパティーの中でも、年間入場者数が常にベスト5に入る人気を誇る。
1987年には世界遺産にも登録されている。
ファウンテンズ修道院は1132年にヨークの"St Mary 's Abbey"で内紛を起こした13名の僧が”人が住むより野獣に適す”
"more fit for wild beasts than men to inhabit"と言われたこの地に基盤を置いて以来、16世紀半ばまで何回にもわたって、
増改築を繰り返し発展したイギリス最大の修道院だ。一時は1,000人もの修道士が住んでいたという。ただその発展も"Lay brothers"といわれる
聖職を行わなず労働のみをする平修道士に由るところが大きかったとの史実を聴くと宗教とはと首を傾げたくなる。
例により、ヘンリー8世の修道院解散により破壊され廃墟となっているが何とも美しい。16世紀当時の壮麗さが偲ばれる。
ビジターセンターのパーキングからかなり下って行くと美しい廃墟が見下ろせる。心そわそわ急ぎ足になるが、その前に"Fountains Hall"の脇を通過する。
16世紀末に一部は修道院の石を使って建てられたマナーハウスだ。どことなく厳めしく疎外感を覚える建物だ。現在では結婚式やイベントなどに使われている(写真下左)。
修道院は広大な芝の中に建っている。芝に下りて一番近くにあるのが"Guest House"だ(写真上左から2枚目)。スケル川(River Skell)を渡って対岸から見ると
川は修道院の敷地内の一部が暗渠になっているのが分かる。12世紀にこの工事がなされているのに驚く(写真上右から2枚目)。この写真の右側の建物が、
トイレ"Reredorter"で川に流す水洗式だったというから恐れ入る。
写真上右が最も大きな建物で"Lay brothers' dormitory"だ。上述の平修道士の生活の場でもあったのだ。大きな建物ではあるが、
平修道士の数からいったら狭い空間であったことだろう。トイレもここに繋がっているようだ。
ここだけは天井が残っている(写真下左)。見事な造形だ。ただ、見た目には分からないが天井には8種類のコウモリが生息しているのだという。
下左から2枚目は建物全体の中心にあり、どの部屋とも繋がっている"Cloisters"回廊だ。修道士の瞑想と訓練"meditation and exercise"の場であったのだ。
写真下左は西正面(West Front)とタワー。2枚目は西正面ゲートから身廊を望む。真ん中は回廊のゲートから"Chapter house"を望む。
右から2枚目も回廊に隣接する"Warming House"修道士たちが暖を取る部屋だ。この部屋の天井もまだ残っている。
回廊から繋がる部屋は他にも"Kitchen"台所と"Refectory"食堂、"Monk's dormitory"修道士の寮などがある。
写真上右から2枚目は南から望んだタワーと"Chapel of nine altars"祭壇だ。見たこともない広がりを見せる祭壇だ。
私達はカントリーサイド、それもガーデン中心に歩いているので日本人に出会う機会は少ない。しかし、ここは有名な観光地、団体に出会った。
金沢大学の学生だという男女半々の10人位の団体だ。ケンブリッジで1ヶ月の語学研修を受けて、帰国前に1週間ほどの観光旅行をしているとのこと。
語学研修なら旅行も団体でなく個人でした方が良かろうにとは思うが口に出すまでもあるまい。”花と英国”の宣伝をして旅の無事を祈念し合って別れる。
写真上右と下左が"Chapel of nine altars"内部の写真だ。ランセットアーチが林立する厳かな眺めだ。9つもの祭壇が必要なほど多くの巡礼者があったのだろう。
建てられた時代により建築様式が異なるのでより複雑な印象を受ける。それにつけても、豊かな修道院であったことが窺える。
そして、800年も前に建設が始まり、廃墟となって400年も経つ、その時間の流れが胸を打つ。
そして身廊(Nave)に遣って来た。2つ上右の写真が身廊の東面、下左が西面だ。全長120mに及ぶ壮麗なものだ。下左から2枚目は側廊(Aisle)、
身廊の南北両側に通っている。
最後はタワーだ。下中は南から見たタワー。右から2枚目が東から見たタワー、右は下から見上げたタワーだ。
(参照 ファウンテンズ修道院についてはこのサイトが詳しい。)
Address | Fountains, Ripon, HG4 3DY |
Telephone | 01765 608888 |
Web Site | Fountains Abbey |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。